医院コラム
糖尿病と歯周病、その深~~い関係って?
こんにちは。歯科衛生士の船越です。 糖尿病ってどんな病気?糖尿病は日本人の5~6人に1人にかかるといわれている生活習慣病です。血液中の糖が増え、高血糖の状態になる病気のことです。高血糖になると、血液や血管の状態が悪くなり、さまざまな合併症を引き起こしてしまいます。 通常であれば、膵臓から分泌されるインシュリンというホルモンが血糖値をコントロールしていますが、分泌が悪くなったり、働きが低下したりすると高血糖状態を引き起こし、やがて目や腎臓、神経の症状を引き起こします。そして悪化が進むと失明、腎不全、足の切断といったことにまで進展していくことがあります。 歯周病と糖尿病の関係歯周病と関係がある病気はいくつかありますが、その中でも最も深く関係している病気が糖尿病といわれています。近年では、逆に歯周病にかかっている人が糖尿病にかかりやすくなることも分かってきました。 実際に歯周病の治療を継続していった結果、糖尿病も同時に改善していくという事例が多く報告されており、そのことからも両者の関係は非常に密接な関係であることがわかります。 お口の中の歯周病菌が歯肉より出血した部分から毛細血管に入り込むと、血中で炎症性物質を放出します。この炎症性物質は血糖調節を担うインシュリンの働きを阻害する働きを持っており、それゆえ体は血糖調節ができなくなって糖尿病を発症・悪化させるのだと考えられています。 また、糖尿病の方は健康な方に比べると、唾液の分泌量が少なく、唾液中の糖分濃度が上昇しており、こうした条件が重なることで歯垢の付着や細菌の増殖が加速し、歯周病が進行すると考えられています。 さらに、糖尿病になると身体が感染を防ぐためのあらゆる機能が低下するので、感染によりダメージを受けたところの修復が遅れることに加え、高血糖による血管損傷で、より歯周病になりやすい状態となります。 気付かないうちに進行する歯周病糖尿病の方の歯周病治療では、歯周病や虫歯の原因となる汚れを徹底的に取り除くことが非常に大切です。それに加えて、高血糖状態そのものが歯周病のリスクになっているのを考慮し、歯科医と内科医が連携して治療することが重要になってきます。歯周病は急性症状が出ない限り、痛みを伴わないため進行の度合いがつかみにくいです。なので気づかないうちに歯周病が進行しないように、定期的な歯科医院への受診をオススメします。 歯科衛生士 船越 |