医院コラム
その歯痛、実は鼻が原因かも!?副鼻腔炎が引き起こす意外な痛みの正体
こんにちは、歯科医師の中原です。 副鼻腔炎が原因の歯の痛みと、実際に歯そのものが原因の痛みを区別することは重要であり、それぞれの特徴を理解することで適切な診断と治療が可能となります。 副鼻腔炎による歯の痛みの仕組み副鼻腔とは鼻の周囲にある空洞で、特に上顎洞は上顎の奥歯に非常に近接しています。副鼻腔が炎症を起こすとその圧力が歯に伝わり、実際には歯に問題がないのに痛みを感じることがあります。この関連痛は、虫歯や歯周病と混同されがちで、特に上顎の奥歯に集中して痛みが現れることが多いです。副鼻腔炎は、風邪やアレルギーが引き金となることが多く、鼻づまりや鼻水などの症状が先に起こり、その後に歯痛が発生することがよくあります。 副鼻腔炎による歯痛の特徴副鼻腔炎が原因の歯痛にはいくつかの特徴があります。まず痛みは片側だけでなく両側の奥歯に広がることがあります。また単なる歯痛ではなく、顔や鼻、額に圧迫感や痛みを伴うことが多いです。この圧迫感が副鼻腔の炎症の典型的な症状であり、歯の痛みと関連しています。 さらに、頭を前に傾けたり、横になったりしたときに痛みが増すことがあります。これは、副鼻腔内の圧力変化により痛みが強くなるためです。風邪やアレルギーの後に痛みが現れる場合や、複数の歯が同時に痛む場合は、副鼻腔炎が原因である可能性が高いと考えられます。 歯の痛みが歯自体に由来する場合一方、歯そのものが原因の痛みは、通常、局所的で鋭い痛みが特徴です。虫歯や歯周病が原因の場合、痛みは1本の歯に集中し、冷たいものや甘いものに対して敏感になることが多いです。特定の歯が噛むと痛む場合や、持続的な痛みがある場合は、歯の神経や歯根に問題がある可能性があります。 また、歯ぐきに腫れや膿が見られる場合は感染のサインであり早急な治療が必要です。歯そのものが原因の痛みは、頭の動きに影響されることは少なく、頭を前に傾けても痛みが変わらないのが一般的です。 原因を見分けるためのポイント歯痛の原因が歯にあるのか、副鼻腔炎にあるのかを見分けるためには、いくつかポイントがあります。 まず、風邪やアレルギーなどの症状が先行している場合は副鼻腔炎の可能性を考えます。副鼻腔炎による痛みは鼻や目の周り、顔に圧迫感を伴うことが多く、これが歯痛との違いです。また、痛みが複数の歯に広がっている場合も副鼻腔炎が疑われます。さらに、頭を傾けたときに痛みが強くなるかどうかも重要な判断材料です。これらの症状が当てはまる場合は、副鼻腔炎が原因である可能性が高いでしょう。 一方で、冷たいものや甘いものに対して鋭い痛みを感じる場合や、特定の歯が噛むと痛む場合は、歯自体に原因がある可能性が高いです。また、見た目やレントゲン写真で虫歯が確認できた場合は、当然ながら歯が原因の可能性が高いです。 診断と治療正確な診断を行うためには、いくつかの検査をして歯が原因でないことを確かめる必要があります。例えばレントゲンで虫歯がないか、冷たいものや熱いものがしみないか、歯を叩いた時に痛みがないか、などさまざまな検査が必要になります。歯に問題が見つからない場合や、副鼻腔炎の疑いがある場合は、耳鼻咽喉科で副鼻腔の状態を確認してもらう必要があります。副鼻腔炎が原因であれば、抗生物質や鼻炎薬、鼻洗浄などの治療が行われ、症状が改善します。 まとめ副鼻腔炎は、歯の痛みの原因としてよく見られるものの一つです。副鼻腔炎による歯痛は、虫歯や歯周病とは異なる特徴をもち、顔や鼻の圧迫感や、頭を傾けたときの痛みの変動などが見られます。一方で、歯そのものが原因の場合は、鋭い局所的な痛みや、特定の刺激に対する過敏さが見られます。痛みの原因がどちらにあるかを正しく判断するためには、歯科医院での診察を受け、適切な治療を行うことが大切です。 歯科医師 中原 |